【共通テーマ】 新しい危機の勃発と変化する時代の政治、法、政策:コロナ流行とウクライナ侵攻という『二つの危機』の中のデモクラシー
理事長挨拶
2022年の春の研究大会も無事に開催する運びとなりました。これも会員各位の皆様による日頃の本学会への支援の賜物と厚く御礼申し上げます。
今年の春の大会は重要な意味を持つこととなりました。現在世界は「二つの危機」を抱えております。
第一危機としての新型コロナ・ウィルス感染症の世界的なパンデミックは依然として続き、コロナ禍で過ごす春も3年目を迎えることとなりました。未だコロナの感染は、終息の見通しが立たないといった状況であり、コロナの流行も第6波まで確認され、引き続き第7波の到来が言われております。
こうした世界的なパンデミックの継続だけではなく、2022年2月24日に世界は新たな危機を迎えることとなりました。第二危機としてのウクライナ危機です。ロシアによるウクライナへの軍事侵攻の勃発に対して人道支援の在り方、国際社会における平和の尊さ、民主主義の価値への挑戦が起こっております。
こうした「二つの危機」は、これまでの世界、そして日本社会の在り方の再検討を迫るものなのかもしれません。そうした世界における危機、国内における危機の中で、日本もその対応を余儀なくされております。昨年、2021年10月4日に発足した岸田政権は、10月31日に政権発足後に異例のスピードで行われた総選挙において、国民の信任を得、改選前議席全体としては議席を減らしたものの絶対安定多数を確保した。この岸田政権がこれら「二つの危機」に対処することとなった。
第一の危機に対しては、岸田政権は緊急事態宣言の発出を差し控え、経済社会活動の復興を重視する「ウィズコロナ社会」の実践を試みてきたといってよい。そして第二の危機に関しては、人道支援を中心としながら、国際社会の中における日本のプレゼンスの向上のために、G7各国と歩調を合わせた経済制裁などを行ってきた。
こうした「二つの危機」に対する審判が行われますのが7月に予定されている参院選です。本学会では、5月29日(日)の午前9時から、各政党を代表する論客による参院選政策演説会を行います。選挙の前に、初めて投票に臨む新有権者などに対する情報提供を行うことを意図しております。また、研究者にとっても、変化するその政策的な立ち位置を明示してもらう絶好の機会でございます。各政党からは、危機の中にある日本のデモクラシーの見取り図を提示されるものと考えております。
さて、こうした「二つの危機」を迎えている2022年ですが、それだけではございません。新たな政策的な変容と共に、今年はいくつかのアニバーサリー・イヤーでもあります。第一に、2022年の4月より「18歳成人」となる改正民法の施行がございました。これについては28日(土)の10時40分からのパネルで、その意義と問題点について検討することとなっております。第二に、沖縄の「本土復帰50周年」ということがあります。沖縄の政治史は、近代以降の世界政治の変容を、如実に反映したものであったと考えることができます。29日(日)の13時15分から沖縄の歴史的展開、そして現在を考えるパネルにおいて検討されることとなっております。最後に、秋には日中国交正常化50周年を控えております。その記念すべき時期に向けて、中国語による学会報告パネルも、春の大会においても設けております。この中国語によるパネルでは、上海の現地研究者とリモートで結び、日本への中国の留学生と中国の第一級の研究者との交流を図り、今後の国際交流の礎を構築することを試みてもおります。
そして学会賞においても今年も豪華です。報道学会賞としましては、毎日新聞東京本社政治部特別編集委員である山田孝男先生、現代政治学会賞としては、名古屋大学名誉教授であり愛知大学教授でもある後房雄先生、現代法律学会賞としましては明治大学常勤理事、前・明治大学副学長、明治大学教授である青野覚先生、現代公共政策学会賞としましては大東文化大学名誉教授の内田知行先生にそれぞれ、学会賞の受賞、ならびにご講演を賜ることを予定しております。いずれもこれらの先生方は、業績自体もさることながら、その「人生自体がマスター・ピース」と呼んでも良いほど、それぞれの領域において多大なる貢献をなし、現在の「報道・政治・法・政策」の各領域の後進に大きな影響を与えるものです。ご講演を通じて後進である会員各位の共通の知見とさせていただきたいと存じます。
さらに、政治家のご講演も今年は豪華です。第95代内閣総理大臣をおつとめになられた野田佳彦先生をお迎えし、現在の政治に対する視座の獲得を試みたいと存じます。野田先生からは、どのようなお話を賜ることができるのか、今からその講演が待ち遠しいところがございます。なかなか学会で、総理大臣経験者のご講演をいただくところはなく、そうした意味でも貴重な機会と考えております。
コロナ禍ではございますが、今回はオンサイトを基本としながら、オンラインも併用するという開催方式で臨みたいと存じます。われわれの学会も、徐々に「ウィズコロナ」という新たな段階への歩みを始めたいと存じます。会場校となります武蔵野大学、ならびに開催校理事を務めていただいております後藤新先生、そして本学会顧問の林弘正先生におかれましては、会の開催につきまして並々ならぬご尽力を賜りましたこと、厚く御礼申し上げます。
開催校であります武蔵野大学の、東京湾を臨みます有明の新たなキャンパスに降り注ぐ陽光のように、明確に「二つの危機」の時代の新たな羅針盤を、会員の皆様と共に考察し、研究報告から将来に貢献できる視座を示すことが出来ましたら幸いです。
時代の流行の最先端でもある東京のベイサイドで、多くの会員の皆様のご参加、またはログインを期待してお待ち申し上げております。
日本政治法律学会理事長
白鳥 浩
大会当日プログラムは順次更新予定です。
8:50~9:00
開会式
開催校からのご挨拶:西本照真(武蔵野大学学長)
9:00~10:30
【日本現代政治学会】自由論題パネル
司会:杉田弘也(神奈川大学)
報告:村岡敬明(明治大学)
「西銘知事による交通インフラの整備政策」
佐藤亮司(地方公務員)
「自由民主党・公明党政権及び民主党政権の幸福政策の比較考察」
討論:竹内直人(京都橘大学)
金井隆典(大和大学)
桶本秀和(城西大学)
【日本現代法律学会】自由論題パネル
司会:四条北斗(大阪経済大学)
報告:上野幸彦(日本大学)
「仮想通貨のマイニングツールプログラムとウイルス罪」
討論:林弘正(島根大学)
【日本現代公共政策学会】自由論題パネル
司会:真殿仁美(城西大学)
報告:金明中(ニッセイ基礎研究所)
「分断する韓国社会―貧困、格差、対立の現状と課題」
呉学殊(独立行政法人 労働政策研究・研修機構)
「文政権下での雇用・労働政策及び新政権の課題」
討論:松江暁子(国際医療福祉大学)
10:40~12:10
【日本現代政治学会】選挙パネル「2021年総選挙とは何だったのか」 (youtube配信)
司会:中井歩(京都産業大学)
報告:岡本哲和(関西大学)
「候補者と有権者はネットをどう使ったのか―2021年衆院選調査からの外観―」
丹羽功(近畿大学)
討論:杉田淳(日本放送協会)
新川達郎(同志社大学)
【日本現代法律学会】民法改正施行パネル「18歳成人と日本社会の変容」
司会:小林幸夫(玉川大学)
報告:谷口聡(高崎経済大学)
「民法における成人年齢18歳への引き下げ―その意義と課題ー」
大矢武史(中京学院大学)
「2021年改正少年法の意義と課題」
討論:石田瞳(高岡法科大学)
【日本現代公共政策学会】看護政策パネル「看護労働の実態と看護師等の人材確保の促進に関する法律」
司会:福井トシ子(日本看護協会 会長)
報告:橋本美穂(日本看護協会 事業局長)
小村由香(日本看護協会 労働政策部看護労働課長)
「日本の看護労働の実態と課題」
友納理緒(日本看護協会 前参与)
「看護提供体制確保のための『看護婦等の確保を促進するための措置に関する基本的な指針』改正の必要性について」
討論:福井トシ子(日本看護協会 会長)
【特別企画】国際交流パネル(5月28日(土)10:40~12:10)
司会:吴寄南(上海市日本学会名誉会長 上海国際問題研究院諮問委員会副主任)
報告:付悦(法政大学大学院)
「对新自由主义的重新审视」
王恵卿(法政大学大学院)
「日本媒体有关中国新冠病毒报道的内容分析-以『每日新闻』为例」
討論:蔡亮(上海国際問題研究院研究員、上海市日本学会副会長兼事務局長)
12:15~13:15
日本政治法律学会 理事会/昼食
13:15~13:30
総会/昼食
13:30~16:30
【学会賞ご講演】 (youtube配信)
<報道学会賞>山田孝男(毎日新聞東京本社政治部特別編集委員)
プレゼンター:白鳥浩(法政大学)
<現代政治学会賞>後房雄(名古屋大学名誉教授)
プレゼンター:芦立秀朗(京都産業大学)
<現代法律学会賞>青野覚(明治大学常勤理事、前・明治大学副学長、明治大学教授)
プレゼンター:松野民雄(城西大学)
<現代公共政策学会賞>内田知行(大東文化大学名誉教授)
プレゼンター:贄育子(梅花女子大学)
16:40~17:40
【政治家ご講演】 (youtube配信)
講演:野田佳彦(第95代内閣総理大臣、衆議院議員、立憲民主党最高顧問)
「内外の重要課題について」
司会:島田敏男(日本放送協会解説副委員長)
討論:山田啓二(京都産業大学)
9:00~12:10
【共通】参院選政策討論会「参院選の政策を考える」 (youtube配信)
司会:白鳥浩(法政大学)
参加政党:立憲民主党 後藤祐一議員(衆議院議員)
公明党 伊佐進一議員(衆議院議員)
日本維新の会 音喜多駿議員(参議院議員)
国民民主党 玉木雄一郎議員(衆議院議員)
日本共産党 山添拓議員(参議院議員)
社会民主党 福島みずほ議員(参議院議員)
自由民主党 佐藤正久議員(参議院議員)
討論:久江雅彦(共同通信編集委員兼論説委員)
12:15~13:15
【政治】【法律】【公共政策】各理事会/昼食
13:15~14:45
【共通】沖縄本土復帰50周年パネル (youtube配信)
司会:芦立秀朗(京都産業大学)
報告:笘米地真理(衆議院議員秘書)
「沖縄返還と琉球帰属問題」
後藤新(武蔵野大学)
「琉球処分についてー琉球藩設置から改約分島交渉までー」
討論:信夫隆司(日本大学)
山本朋広(衆議院議員)
14:55~16:35
【日本現代政治学会】ヨーロッパ政治パネル (youtube配信)
司会:井柳美紀(静岡大学)
報告:三澤真明(日本大学)
「イギリス政治における国民投票と政党政治の変容」
佐伯祥子(エクセター大学)
「2022年 ロシアのウクライナ侵攻における戦争プロパガンダと「反ユダヤ主義」」
討論:川野秀之(玉川大学)
桐谷仁(静岡大学)
【法律・公共政策合同】法律ラウンドテーブル「日本国憲法施行75周年を契機に憲法のあり方を考える―他分野からのアプローチも踏まえて」
司会:山崎将文(京都橘大学)
報告:齋藤康輝(日本大学)
金川めぐみ(和歌山大学)
16:35~17:35
【政治家ご講演】 (youtube配信)
講演:坂井学(前官房副長官、衆議院議員、自由民主党)
「菅政権の経験から日本政治を展望する」
司会:古橋エツ子(花園大学名誉教授)
討論:古橋エツ子(花園大学名誉教授)
湯浅墾道(明治大学)
17:35~17:40
閉会式
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