2024年度春季研究大会プログラム

【最終更新日 2024年5月9日

 

プログラムを随時更新中です。開催前に、PDF版「2024年度春季研究大会プログラム」をアップロードいたします。

 

 

 

【共通テーマ】

変化する世界、変化する日本

—「法の支配」と「民主主義」―

 

 コロナ禍で制限されていた日々から解放されて一年が経過しようとしております。まるで世界的なパンデミックが嘘であったかのように、急速に日常を取り戻しつつあります。会員各位におかれましては、ますますご健勝のこととお慶び申し上げます。

 さて、コロナ以前の生活に戻りつつある中で、「第二の開国」としての「ポストコロナ」時代に向かって海外からのお客様も以前のように見られる中で、今後の日本の将来、世界の中の日本の在り方を決定する中枢である東京の中心の城西大学紀尾井町キャンパスにおいて、春の研究大会を開催するはこびとなりました。これも継続して学びを止めなかった皆様の日々のご研鑽の成果によるものといってよいのではないかと考えております。

 今年の春の研究大会は、「変化する世界、変化する日本 ―「法の支配」と「民主主義」―」と題しまして、日本政治法律学会らしく、現在ホットな話題である「法の支配」にまつわるグローバルな国際、ローカルな国内の変化、そして「民主主義」として未曽有の日本政治の危機を招いている政府への信頼の欠如を真正面から取り上げるパネルを中心といたしました。特に「ウクライナ戦争」という「法の支配」を問う21世紀の世界の課題や、「岸田政権の支持率低迷」につづく「日本の民主主義」を問う今後の日本政治の課題を考える機会としたいと存じます。そこにおいて重要であるのは「変化する世界、変化する日本」の中に存在している私たちであるといってもよいのではないでしょうか。

 そこで、「法の支配」を検討する「ロシア・ウクライナ戦争を考える」と題したラウンドテーブルを設けました。日本の安全保障政策をリードされてきた元防衛大学教授の外交論の大家である孫崎享先生(元防衛大学教授)を司会に、岡部芳彦(神戸学院大学)、佐々木正明(大和大学)の気鋭の報告者をお迎えし、国際関係論における「法の支配」を検討する機会を得ました。

 また、世界の動向に大きな影響を及ぼす「2024年アメリカ大統領選挙」も前島和弘先生(上智大学)や、中国の国際関係に関するパネルも朱建栄先生(東洋学園大学)といった第一人者を中心として設定いたしました。これらのパネルは21世紀の両大国のはざまにある日本にも一つの示唆を与えるものとなると考えます。さらに予期せぬ訃報が本学会を襲いました。本学会の現代政治学会賞受賞者である五百籏頭眞先生のご逝去です。国際関係の研究のみならず、日本の防災政策についても大きな貢献を残した五百籏頭先生を追悼するパネルも企画いたしました。

 さらに「民主主義」を検討するうえで、これまでの日本の政治とは異なる変化も期待されているところもあります。そうした中で「新たな将来の野党第一党」、「新たな将来の内閣総理大臣」の可能性の呼び声も高い政党、政治家の方にご登壇いただくことができました。

 5月25日(土)には、「新たな将来の野党第一党」という可能性も指摘されている、日本維新の会の幹事長である衆議院議員、藤田文武先生をお迎えして野党第一党への道筋と、新たな政治の可能性についてお話賜ります。

 そして続く5月26日(日)には、「新たな将来の内閣総理大臣」の呼び声も高い、現在でも「次の総理大臣」のアンケートでは常に不動のトップの座を占めてきている自民党の衆議院議員で、元幹事長、そして初代地方創生大臣であらせられる石破茂先生をお招きいたしました。石破先生には日本政治の信頼回復や、今後の地方の在り方についてお話賜ることができるものと考えております。

 これほど豪華な登壇者を迎えられるのは日本政治法律学会をおいてほかにはありません。異なる立場から、それぞれ現代という時代を、どう分析されているのかお話し賜ることとなっております。こうした変化する世界に対して、日本のかじ取りである与野党のそれぞれの政治リーダーがどういったことをお話し賜るか、参加者におかれましては、非常に重要な示唆を得るものと思います。

 さて「法の支配」と「民主主義」は重要なものです。そうした重要性を理解する上で、我々は現在の先人の営為に学ばなければなりません

 それと関連し学会賞も、今回もこれら現代の課題に関連する各領域の代表者に受賞していただくこととなりました。今回の学会賞としましては、現代公共政策学会賞としては、日本の福祉政策の第一人者として、現在も日本の公共政策に大きな影響を与えていらっしゃる宮本太郎先生(中央大学教授)を、現代政治学会賞としては、東ヨーロッパの地域研究の日本における嚆矢の一人である森田昌幸先生(城西大学名誉教授)を、現代法律学会賞としては、単に法律学にとどまらず、多様な領域にも影響を与えた尾田清貴先生(日本大学元教授)を、そして報道学会賞は現在でも第一線で活躍され、多くの著作を執筆なさっていらっしゃる清水 真人先生(日本経済新聞編集委員)にご登壇賜ることとなりました。受賞者の皆様のこれまでの業績を、学会員一同、ご顕彰もうしあげるとともに、ご講演を通じて、その高い知見を会員の共通の財産とさせていただきたいと存じます。

 こうした非常に歴史的にも意義のある今大会に、城西大学において開催校をお引き受けいただきました開催校理事の小野義典先生・柳澤智美先生におかれましては、並々ならぬご努力を賜りましたこと、ここに篤く御礼申し上げます。

 対面での学会開催が出来ますこと、これまで変わらずに研究を継続されてきた会員皆様の自重の賜物と存じております。変化する時代に総合的に政治・法・公共政策を検討できますこと幸いに存じます。今年も多くの皆様のご参加を、春の東京の中心である城西大学でお待ち申し上げております。

 

2024年

春吉日

 

日本政治法律学会理事長

白鳥 浩