第8回研究大会(オンライン)

【共通テーマ】新政権の誕生と変化する国際・地方:パンデミックの中における政治・法律・公共政策の新たな座標軸を求めて

 理事長挨拶

実りの秋となりました。2021年の秋も研究全国大会を会員の皆様と共に開催できますこと非常に喜ばしい限りです。

秋という多くの作物の収穫の時期をむかえるのと同様に、当学会の研究領域である三分野、政治学、法学、公共政策学の領域における研究報告も収穫の時期をむかえました。今年も豊作で、実りの多い内容となっております。作物が収穫に至るまでには、極寒の冬の時期、そして灼熱の夏の時期を過ごしてまいりました。

報告される会員の皆様におかれましても、ご参加いただく会員の皆様におかれましても、コロナ禍において、研究報告の機会も制限され、出版の予定も必ずしも順調にはいかず、思い通りに研究は進まなかったことと存じます。そうした学問の冬、夏の時期においても、しっかりと地に足を付けて研究を進めてきたその成果が報告されるはこびとなりました。

 この秋におきましては、現実の政治、政策においては大きな転換を見せました。長かった安倍政権を引き継いだ菅政権が退陣し、そして新たな岸田文雄氏を首班とする内閣が誕生しました。岸田氏は「新しい資本主義」というスローガンを掲げ、政策の転換を訴えておりますが、その内容は必ずしも明らかとはなっておりません。また、来る衆院選を見据え、与党だけではなく、現在の野党も消費減税や現金の支給を含む「バラマキ型」の政権公約(マニフェスト)を次々と提起しております。

 今回の研究大会は、奇しくも総選挙と日程が同日となってしまいました。予定をしておりました国会議員の政治家の方の講演は次々とキャンセルとなり、会の開催すら危ぶまれる事態すらありました。しかし、予期せぬこととはいえ、そうした変化があったとしても地道に研究を積んでいらっしゃった研究者の、研究報告の機会を減ずることがあってはならないという強い意志で臨むこととなりました。これはパンデミックの下で、これまで他の学会が開催を取りやめる中、リモート開催をいち早く決定し、学びを止めないという姿勢を貫き通してきた本学会のレゾンデートルに関わるものであるとして、開催を行うこととなりました。

日本政治法律学会としては、むしろこうした悪条件を好条件へと変えていくべきなのではないのか、そしてそれが出来るのはこうした条件を与えられた本学会だけであります。未だコロナは収束しておらず、そのなかで新しい政権が誕生し、今後の日本の座標軸が問われようとしている。そうしたこの時期に、学会を開催しないことは、政治、法律、公共政策に携わるものとしての良心に反すると考えます。こうして研究者、有権者の関心が高まっている今だからこそ、研究者、学生、政治家、ジャーナリストといったこの学会に参加される会員の総力を挙げて、未来への新たな座標軸を検討する必要がある、そうでなければそれぞれの倫理観に反するという結論に至りました。こうした立場から同じ思いを共有する多くの方にご登壇いただくこととなりました。

今回の学会賞も、豪華なメンバーによって構成されております。報道学会賞をこれまで長く日本・および静岡の政治の報道に貢献されてきた株式会社静岡新聞社代表取締役社長の大須賀紳晃先生、現代政治学会賞を政治外交史・政治思想史の分野で多大なる貢献をなさった名古屋大学の川田稔先生、現代法律学会賞を憲法学研究に多大なる貢献をなさった白鳳大学の野畑健太郎先生、そして現代公共政策学会賞をこれまで日本を代表される経済史の研究者として第一線にいらっしゃり、その後静岡県知事として10年以上静岡の公共政策に携わってらっしゃる静岡県知事の川勝平太先生に贈呈申し上げ、ご講演を賜ることとなりました。先生方の時代を見据えた高い見識に基づくご講演から、後進の我々も多くを学び、学会の共有財産としたいと存じます。

なお、次の時代の日本をうらなう投票日にかけて、学会が開催されることから、その機を捉えこれまでの政権を総括し、次の政権への課題、希望を提起するラウンドテーブル・パネルを本学会の顧問を中心として、二日連続で設けることとなりました。これは現今の日本政治の課題と将来の座標軸を示すものと考えております。

10月30日(土)のラウンドテーブル「安倍菅政権とはなんだったのか? これからの政治に望むこと」Part1:「行政・比較政策の視点から」では、司会:島田敏男先生(NHK放送文化研究所)、パネリスト:中邨章先生(明治大学)、川野秀之先生(玉川大学)、桐谷仁先生(静岡大学)、続く10月31日(日)のラウンドテーブル「安倍菅政権とはなんだったのか? これからの政治に望むこと」 Part2:国際政治の視点から」では、司会:神志名泰裕先生(元NHK解説委員長)、パネリスト:大芝亮先生(一橋大学)、朱建榮先生(東洋学園大学)という豪華メンバーで開催することとなりました。是非、ご参加賜ると幸いです。

そして、そうした国際・国家の変容を横目で見ながら、地方の問題も忘れてはなりません。今回、政令市を代表して鈴木康友先生(浜松市長)、 田辺信宏先生(静岡市長)にもご登壇賜ります。また、他にも久保田崇先生(掛川市長)、草地博昭先生(磐田市長)、上村崇先生(京田辺市長)、山添藤真先生(与謝野町長)の各首長にもご参加賜ります。政令市、市町村がどのような課題を抱えているのか、会員の皆様と共有したいと存じます。

 今回も開催を予定しておりました静岡大学での現地開催は、パンデミックに対応するために、断念せざるを得ない状況となりました。開催までにご尽力賜った桐谷仁理事、井柳美紀理事、そして静岡大学の日詰一幸学長におかれましては、企画の段階から大変お世話になり、開催できないことにあたっては言葉に出来ないほど悔しい思いがあったことと拝察申し上げます。本当に様々なご配慮、ご準備、有難うございました。

 開催までの様々な苦難を乗り越えて開催される2021年秋の日本政治法律学会全国大会、皆様のご参加をお待ちしております。

日本政治法律学会理事長

白鳥 浩

 

10月30日(土)大会1日目

8:50~9:00

開会式  

開催校からのご挨拶:日詰一幸(静岡大学)

9:00~10:30

【日本現代政治学会】自由論題パネル (YouTubeでLive配信)

司会:杉田弘也(神奈川大学)

報告:杉谷直哉(山陰研究センター)

   「島根県における政党内閣制崩壊前後の政党勢力の展開-二つの総選挙をめぐる二つの逆説-」

     佐賀香織(フェリス女学院)

   「三重県における中野武営の実業と政治」

 

 

討論:吉田龍太郎(慶應義塾大学)

   村岡敬明(明治大学)

 

【日本現代法律学会】自由論題パネル

司会:和田美智代(新美公立大学)

報告:四條北斗(大阪経済大学)

   「ストーカー規制法の改正動向についてーー第三次改正を中心にーー」

  :新美太志(税理士事務所)

   「租税回避行為の一般的否認規定に関してのわが国における現状整理と位置付け」

 

討論:林弘正(島根大学)

   吉田夏彦(岐阜聖徳学園大学)

 

 

【日本現代公共政策学会】自由論題パネル

司会:宮﨑一徳(参議院事務局)

報告:朝倉幹晴(船橋市議会)

   「千葉市船橋氏塚田地区20年の街づくり~工場撤退・人口増・学校建設と環境整備に関する市議会議論と住民合意~」

     竹内真雄(地方公務員)

   「東京都議会における議長・副議長人事について」

     佐藤亮司

   「自由民主党・公明党政権及び民主政権の幸福度指数の比較考察-2つの政権交代における連続性と非連続性―」

 

討論:青木栄一(東北大学)

   竹内直人(京都橘大学)

 

10:40~12:10

【日本現代政治学会】地方政治パネル YouTubeでLive配信)

司会:三澤真明(日本大学)

報告:白鳥浩(法政大学)

   芦立秀朗(京都産業大学)

 

討論:中井歩(京都産業大学)

   丹羽功(近畿大学)

 

【日本現代法律学会】法学教育パネル-コロナ禍における法学教育のあり方

司会:増田幸弘(日本女子大学)

報告:齋藤康輝(日本大学)「コロナ禍における法学教育のあり方」

 

討論:四條北斗(大阪経済大学)

 

【日本現代公共政策学会】静岡新聞調査報道パネル(仮)

司会:井柳美紀(静岡大学)

報告:坂本昌信(静岡新聞)

   「静岡新聞調査報道『サクラエビ異変』の取り組み~富士川の河川環境を中心に」

 

討論:鈴木美勝(元時事通信解説委員)

 

12:15~13:15

日本政治法律学会 理事会

 

13:15~13:30

総会

 

13:30~16:30

【共通】学会賞ご講演 YouTubeでLive配信)

<報道学会賞>

 大須賀紳晃(株式会社静岡新聞社代表取締役社長)「静岡新聞の地震防災報道とオンデマンド調査報道」

<現代政治学会賞>

 川田稔(名古屋大学名誉教授)「昭和陸軍の構想ーー永田鉄山と武藤章」

<現代法律学会賞>

 野畑健太郎(豊岡短期大学学長)「シンガポール憲法とともに歩んだ自分の研究を振り返って」

<現代公共政策学会賞>

 川勝平太(静岡県知事)「国策『首都移転』を問う」

 

 

16:40~17:40

【共通】ラウンドテーブル「安倍菅政権とはなんだったのか?これからの政治に望むこと」Part1:行政・比較政策の視点から 

司会:島田敏男(NHK放送文化研究所)

討論:中邨章(明治大学)

   川野秀之(玉川大学)

   桐谷仁(静岡大学)

 

10月31日(日)大会2日目

9:00~12:10

【共通】学生コンペ「大学生から見たコロナ対策:中央・地方政府と法・政策」 YouTubeでLive配信)

司会:石田瞳(高岡法科大学)

参加チーム:京都産業大学芦立ゼミ

                  静岡大学井柳ゼミ1

      法政大学白鳥ゼミ2

        駿河台大学黒木ゼミ

                  静岡大学井柳ゼミ2

        法政大学白鳥ゼミ1

      近畿大学高橋ゼミ有志 

      静岡大学井柳ゼミ3

 

審査委員長:新川達郎(同志社大学)

審査員:佐伯康子(聖和大学)

      宮本悟(聖学院大学)

            林弘正(島根大学)

 

12:15~13:15

日本現代政治学会・日本現代法律学会・日本現代公共政策学会 理事会

 

13:15~14:45

【現代政治学会】若手首長セッション YouTubeでLive配信)

司会:新川達郎(同志社大学)

報告:久保田崇(掛川市長)

     草地博昭(磐田市長)

     上村崇(京田辺市長)

     山添藤真(与謝野町長)

 

14:55~16:25

【現代政治学会】政令市長セッション 「令和時代の政令市の課題」 YouTubeでLive配信)

司会:白鳥浩(法政大学)

報告:鈴木康友(浜松市長)

     田辺信宏(静岡市長)

 

討論:日詰一幸(静岡大学)

 

13:15~16:25

【法律・公共政策合同】コロナ禍における法と政策パネル

司会:玉井昇(獨協大学)

報告:宮畑加奈子(広島経済大学)

       「台湾の新型コロナウィルス感染症対策-感染症法制の歴史と緊急命令権を中心として-」

   石見禎(ニュージーランドIPU)「ニュージーランドにおけるコロナ対応」

   高山一夫(京都橘大学)「アメリカにおける医療保障制度とコロナ対応」

 

討論:成瀬トーマス誠(国士舘大学)

   松田亮三(立命館大学)

         金川めぐみ(和歌山大学)

 

16:35~17:35

【共通】ラウンドテーブル「安倍菅政権とはなんだったのか?これからの政治に望むこと」Part2:国際政治の視点から YouTubeでLive配信)

司会:神志名泰裕(元NHK解説委員長)

討論:大芝亮(一橋大学)

     朱建榮(東洋学園大学)

 

17:35~17:50

学生コンペ 結果発表・表彰式

 

17:50~18:00

閉会式

ダウンロード
2021年度秋季研究大会 プログラム.pdf
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