【共通テーマ】
危機の時代の日本と世界:
元首相銃撃事件の中で民主主義・法の支配・政策実践を問い直す
2022年秋の大会は富山県唯一の法学系単科大学である高岡法科大学で開催されることとなりました。これも地方での大会開催を強くサポートしていただける会員の方のご尽力の賜物と存じます。篤く御礼申し上げます。
さてこの秋の大会の開催の意義は、はかり知れません。
ご存知のように、今年は参院選の年であり、7月10日に投開票が行われたのですが、その投票直前の7月8日(金)午前11時30分過ぎに奈良県で安倍元首相銃撃という民主主義国家、法治国家で、あってはならない事件が起こり、憲政史上最長の任期を誇った安倍元首相は尊いいのちを凶弾により失うこととなりました。
衆院選の様に「政権選択」の選挙ではない、参院選は、しばしば軽視されがちですが、しかしながら法案の出口ともいえる院であり、また選出された議員は6年間解散もなく政策実践に携わるという恩恵にあずかることができるため、ここで選出された参院議員は政策選択を強く実践することとなるという意味で、参院選は「政策選択」の選挙といっても良いのではないでしょうか。
そうした「政策選択」の選挙の投票日直前に起こった凶事によって、自民党は大勝しそこで訴えた政策の実践は政権与党の今後の政策運営上の喫緊の課題として立ち現れることとなりました。こうした混迷の時代の政策実践において、われわれが理解すべき共通認識とは何でしょうか。
これまでの学会のテーマである、「新型コロナ感染症」、「ウクライナへの軍事侵攻」といった危機に加えて、現在ではこの元首相銃撃事件によって、既存の「民主主義」・「法の支配」・「政策実践」を問い直すことが要請されているのではないでしょううか。
こうした中で、今回も豪華な参加者を迎えた学会の運営ができるようになったことを誇りに思います。安倍政権において国務大臣をつとめられた稲田朋美先生、そして自公政権に対峙する野党第一党の立憲民主党で女性として初の幹事長となった西村智奈美先生をお迎えして、与野党のこれまでの、そして現在の政策実践にまつわるお話を伺うこととなっております。
また、学生コンペも例年通り、11月6日(日)の9時から12時にかけて開催されます。今回は、テーマ 「二つの危機と政治・法・政策を考える」というテーマで開催されます。ここでいう「二つの危機」とは、「コロナ禍」と「ウクライナ侵攻」という2つの危機を指します。こうした契機に政治・法・政策を考えるテーマです。「コロナ禍」の危機において、政府の危機管理能力の向上が唱えられ、「ウクライナ侵攻」によって安全保障上の観点から防衛力の強化が叫ばれております。それに伴う法整備、政策立案が要求され、まさに政治、法、公共政策の総合力が求められているといってよいでしょう。この学生コンペでは、学部ゼミなどの、複数人から成るチームでご参加いただき、特定のテーマについて研究報告をして頂く機会となります。学生さんのフレッシュな視点から、問題提起をしていただくことにより、われわれ研究者、ジャーナリスト、そして政策実践に関わるものも、心新たに政治・法・政策を見つめ直す機会としたいと存じます。
コロナ禍ではございますが、高岡市の地域振興、そして、都会しか知らない学生にも地方を知ってもらう機会を提供するということで、今回はオンサイトを基本とするという開催方式で臨みたいと存じます。岸田政権の政策的な方向性を横目で見ながら、われわれの学会も、徐々に「ウィズコロナ」という新たな段階への歩みを始めたいと存じます。会場校となります高岡法科大学、ならびに開催校理事を務めていただいております石田瞳先生におかれましては、会の開催につきまして並々ならぬご尽力を賜りましたこと、厚く御礼申し上げます。
開催校であります高岡法科大学の、緑豊かなキャンパスに降り注ぐ秋の木漏れ日のように、「二つの危機」の時代の新たな羅針盤を、会員の皆様と共に考察し、研究報告から将来に貢献できる視座を示すことが出来ましたら幸いです。
地方が日本をけん引する時代のさきがけを試みている高岡市で、多くの会員の皆様のご参加を期待してお待ち申し上げております。
日本政治法律学会理事長
白鳥 浩
8:50~9:00
開会式
開催校からのご挨拶:石崎 誠也(高岡法科大学学長)
9:00~10:30
【日本現代政治学会】自由論題パネル
司会:芦立秀朗(京都産業大学)
報告:宮﨑一徳(参議院事務)
「いわゆるAV被害救済法の成立過程の分析」
村岡敬明(明治大学)「『植民地独立付与宣言』以降の沖縄本土復帰に向けた政治過程-日米琉の動向を中心とし
て‐」
討論:松野民雄(城西大学)
宮本悟(聖学院大学)
【日本現代法律学会】自由論題パネル
司会:小林幸夫(玉川大学)
報告:王学士(高岡法科大学)
「詐欺による保険者の取消権行使の可否を巡る裁判例・学説の緊張関係-日中比較の視点から‐」
上野幸彦(日本大学)
「最高裁Twitter削除請求事件について」
討論:宮畑加奈子(広島経済大学)
吉田夏彦(岐阜聖徳学園大学)
【日本現代公共政策学会】自由論題パネル
司会:杉谷和哉(岩手県立大学)
報告:疋田陽子(法政大学大学院)
「大学組織を支える事務職員の高度化に関する考察」
柳澤智美(城西大学)
「NPOが築く地域政策-政策提言型NPO-」
討論:杉谷直哉(山陰研究センター)
杉谷和哉(岩手県立大学)
10:40~12:10
【日本現代政治学会】「労働組合の変容」パネル
司会:塚崎裕子(大正大学)
報告:桐谷仁(静岡大学)
「主要OECD諸国の労働政治の変容と多様性(仮)」
杉田弘也(神奈川大学)
「オーストラリアの労働運動の変化と労働党」
討論:丹羽功(近畿大学)
【日本現代法律学会】法の理念パネル「ノーマライゼーションの理念と法」
司会:松野民雄(城西大学)
報告:石田瞳(高岡法科大学)
「認知症患者のACPの現状と課題」
佐々木達也(名古屋学院大学)
「雇用における合理的配慮提供義務の展開」
討論:遠藤隆幸(東北学院大学)
【日本現代公共政策学会】書評パネル「ウェルビーイングの経済」
司会:白鳥浩(法政大学)
報告:原田裕治(摂南大学・経済学)
齋藤康輝(日本大学・憲法)
石田啓雅(高岡法科大学・経済学)
著者:山田鋭夫(名古屋大学)
12:15~13:15
日本政治法律学会 理事会/昼食
13:15~13:30
総会/昼食
13:30~16:30
【学会賞ご講演】
<報道学会賞>チューリップテレビ政務活動費取材チーム
プレゼンター:白鳥浩(法政大学)
<現代政治学会賞>西修(駒澤大学名誉教授)
プレゼンター:芦立秀朗(京都産業大学)
<現代法律学会賞>根田正樹(高岡法科大学前学長、高岡第一学園 顧問)
プレゼンター:松野民雄(城西大学)
<現代公共政策学会賞>清水幸裕(南砺市民病院病院長)
プレゼンター」:井上清美(姫路獨協大学)
16:40~17:40
【政治家ご講演】(youtube配信予定)
講演:稲田朋美(衆議院)
「強くて優しい国」
司会:山田啓二(京都産業大学)
討論:石田瞳(高岡法科大学)
松浦淳介(慶應義塾大学)
山崎将文(京都橘大学)
9:00~12:10
【共通】学生コンペ
司会:黒木未來(駿河台大学)
参加大学:京都産業大学(芦立ゼミ)
高岡法科大学(石田ゼミ)
中央学院大学(野口ゼミ)
法政大学(白鳥ゼミ)
日本大学(憲法研究会)
近畿大学(丹羽ゼミ)
駿河台大学(黒木ゼミ)
駿河台大学(笹岡ゼミ)
12:15~13:30
【政治】【法律】【公共政策】各理事会/昼食
13:30~15:15
【日本現代政治学会】「2022年参院選」パネル
司会:井柳美紀(静岡大学)
報告:岡田浩(金沢大学)
「現職と新人で候補者んついての有権者の意識はどう違うか‐金沢市における2022年参院選に関する意識調査データの分析-(仮)」
井田正道(明治大学)
「集計データからみた2022年参院選の特色と傾向(仮)」
討論:新川達郎(同志社大学)
丹羽功(近畿大学)
【日本現代法律学会】「災害と行政」パネル
司会:中村良(日本大学)
報告:橘篤志(高岡市総務部危機管理課課長)
「ハザードマップの現状とその課題」
室谷智(高岡市生活環境文化部環境政策課課長)
「高岡市の災害廃棄物への備え」
討論:中邨章(明治大学名誉教授)
野口教子(高岡法科大学)
【日本現代公共政策学会】ラウンドテーブル「安倍政権を振り返る」
司会:安達宜正(NHK松山放送局副局長)
報告:安達宜正(NHK松山放送局副局長)
後房雄(愛知大学・政治学)
野口健格(中央学院大学・憲法)
井上清美(姫路獨協大学・公衆衛生看護学)
15:25~16:25
【学生コンペ表彰式および審査員コメント】
司会:後藤新(武蔵野大学)
審査委員長:新川達郎(同志社大学)
審査員:佐伯康子(東洋英和女学院大学)
佐伯祥子(エクセター大学)
宮畑加奈子(広島経済大学)
後藤新(武蔵野大学)
宮本悟(聖学院大学)
16:35~17:35
【政治家ご講演】(youtube配信予定)
講演:西村智奈美(衆議院)
司会:島田敏男(NHK放送文化研究所研究主幹)
討論:島田敏男(NHK放送文化研究所研究主幹)
石田瞳(高岡法科大学)
17:35~17:40
閉会式
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